Midnight Journey

 

「Midnight Journey」



もっと簡単なパズルはないですか?」と尋ねられることがある。

僕がデザインしたパズルの中で、HeartやArrowといった3ピースのシルエットパズルよりも簡単なものはないので…誰もが解いて楽しめる、もっとカンタンなパズルを作りたいと以前より思っていた。

しかしながら、簡単なパズルはささっと簡単に作れるわけではなく、
そう易々とはデザインできないものなのである。

例えば1個のキューブを箱に収める「IGA CUBE」は、“正真正銘難易度1” のパズルだとは考えるが、ぴったり収まった時の多少の達成感はあれども、十分に“楽しいパズル”だとは残念ながら思えない。

やはり“簡単”であることと“楽しい”を両立させることはなかなか難しい。

 

 



さて、今作は五角形の枠にピースを収める平面のパズルである。5ピースとピース数も少なくとても“素直な”パズルなので、子供でも解けるパズルであると思われる。

ただ、解き終わった際に達成感だけでなく、ちょっとした楽しい演出を施した。ささやかながら全てのパズルの解き手を、パズルで喜ばせたい、笑顔にしたいと願ったデザインである。これは“迷わせる”というよりも寧ろ完成へと“導く”ものにも成り得る。

 


 



とはいえ、パズルデザイナーとして最低限の水準と工夫は施しており、大小2ピースの四角形は左右対称に見えてそうではなく、それぞれ辺の長さが微妙に異なるので、正解とは逆側を正五角形のフレームの内角に配置すると解は無くなる。

パズルとしての価値はぎりぎり残しつつ、誰もが解けて、ちょっとした喜びもある。

これが「もっと簡単なパズルはないですか?」に対する、僕なりのアンサーパズルの一つである。
 

あまりタイトルでネタバレしたくない気持ちはありつつも、ぱっと思いついたフレーズ「Midnight Journey」をパズルのタイトルにした。 




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